エッシャーさん(オランダ1898~1972)ってタダの版画家じゃない。
”タダの”と言ってしまうこと自体、彼が考えている”平面の正則分割”を全く理解していないことになる。こんな空間論があるとは今まで知らなかった。
エッシャーさんはラスコーの洞窟に描かれた絵を見て、これを描いた人たちは芸術家じゃないのか?自分は職人なのか版画家なのか、と自問自答する。
長いことアトリエの本棚に放置されていたM・Cエッシャー「無限を求めて」である。
エッシャーが自作を語る。それだけでは面白いはずがない。当時はそんな気が積読にしてしまったのかも知れない。
エッシャーさんの作品と言えば、形を変えながらのパターンであるが、白と黒とが入れ替わりながら終わりがなくなっていく。
白と黒とは描かれた形と地(画用紙)の関係にある。
そこでエッシャーさんは、「地がなくても図は描けるのではないか」と考え、
今までになかったような空間論へと展開していく。
日本、東洋のパターン図形、HGウエルズの”タイムトンネル”ダビンチの風景論における境界、イスラム教とユダヤ教宗教へと白と黒の展開がそのまま現代の世界として変更され、世界そのものであるというのであろうか。
※そうか、オリンピックのポスターの江戸市松模様のデザインも
矩形が連続して円へと変化し絆を象徴している。
これまた平面の正則分割と言えるだろう。
紫陽花 F6 (正則分割とは何ら関係ありません)