服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

tomatotiger8.sakura.ne.jp

舟さんの「石積みの個展」

イメージ 1
午後、吉野ヶ里のGアートエルに舟さんの「石積みの個展」を見に行く。銅板に済州島の石積みを題材にアクリルで彩色した小品が数十点飾ってあった。舟さんの大型、立体のイメージからは質素である。済州島では山や海に石をドーム状に積み上げ、山や海の守り神にしていると言う。そのシンボル性と形状に閃くものがあったのであろう。それをカラフルに点描、線描にて描きだしてあった。指であったり、男根に映るのだが、見ていくうちに恐山のイタコになりマリアの母子像、そしてキリストその人に見えていき、指も男根も島ではなく半島であると、ボクには見えてきて面白かった。舟さんは、かつて銅板を釘でひっかいたり、たたいたりした縄文線刻風のレリーフを作っておられた。当時の未使用の銅板が残っており、その表面が自然に腐食していたと言う。「放置し腐食した銅板の<時間>に現在の時間を重ねる」試みであったようだ。しかし、画面は色で覆いつくされており、銅板だとは判りずらい。ボール紙かとおもっていた。点描、線描だけにその筆致のすきまに薄黒く腐食した銅の色が覗いている。舟さんが現実に心通わすのはその隙間との交信であろう。さらっとカラフルな作品の隙間には、閃き、思いつきでもない熟成した思想がひそんでいるのである。