服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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松原由佳個展Sickは宇宙

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そうだ、今日は由佳さんの個展の手伝いに行く日だった。昼も過ぎそろそろ行ってみるか、とおもったところで??あれっ!新聞を見れば火曜日・・。なんでこうなるの・・?飾り付けは普通月曜日である。とりあえず会場であるギャラリー久光へいく。ギャラリーからはみだすばかりに作品がつめこまれ、並べられていた。妹さんと好きなように並べたというが、狭い空間がたのしい空間に変わっていた。画材店も顔負けのにぎやかさである。これだけ大量の大小の作品をよくも押し込んだというか、全てをおさめようとすれば、こうなるしかなかったろう。それが効を奏したかのように由佳さんの女の部屋なのであった。彼女独自の内面世界が表出した個展である。もともと花が好きな人で今回もたくさんの花の絵がある。それが数年前から、花に唇、目玉が加わわり、香水の瓶や、そして手足身体がバラバラに入り込んで来るようになった。色彩は以前に比べ、明るくカラフルにはなってきたけども、題材からしてもおどろおどろしいグロテスクな不気味さは増していくようだ。マチエールはさまざまで、下地造りはポロックのアクションペインティングさながら、身近な絵の具、画材を手当たりしだいにブチまき、流す。その偶然の下地自体が美しかったり、作品よりよかったりすることもしばしば・・。その上にクレヨンを多様し、何でも材料とする。人体がばらばらであることは、怖く、痛く、フリーダに通じる狂気さも感じるのだが、甘さも目につく。尋常に絵画しているのに尋常ではなく見えている。本人の意識するところではなく、人間性も、やさしさも痛々しく表現され、本質を突いている。玄人受けがイイようだ。指絵、足絵も描くのだが、手足は道具であり、肉の中から子宮の中から何かに描かされているという神がかりな側面も感じる。草間弥生さんにも通じる。文学では、唯一山田詠美さんが好きで、いろんなインスピレーションを享受しているようで、今回のサブタイトル「SICK」も病気という以上に「宇宙」へのつながりを意味しているとのこと。フリーダよりは山田詠美の解放へ向うべきとボクはおもっている。デッサンのマズさを埋めようと、デッサンをやり直していた時期もあったが、作品を作る意欲の方が、それを遠ざけた。やれるものなら、描画上のデッサンに未練はない。絵画のグロテスクせいばかりを言ってるようだが、「Sick」皮肉を込めた女心であり恋心でもあるのだ。非凡な恋多き女性なのである。半ば、入院により流され中止になりかかった個展を、強引にも年内に開いたのはよかった。ギャラリーにもつめている妹さんや家族の協力もあって可能となった。本人にとっては、賭けだったのかも。来年に持ち越さず、今年を消化しようと言う意思決定が今回の個展にも表れている。体調への不満、長期入院のいらだちがふつふつとほとばしっている。欲も捨て「どうにでも見て」と初めて開き直ったようにドンと座っている。新たな地平とは時にはそんなものだ。足の骨折により予定より半年遅れの個展となったが、創造という表現のデッサンを手にいれようとしている由佳さんである。個展おめでとう。