服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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山崎正之アート展「オランピアの中で」

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山崎正之アート展「オランピアの中で」
吉野ヶ里町 アートエル 3月15日~3月21日)
「裸のマヤ」にも似た体を露にした女性がベッドに横たわるマネの絵画「オリンピア」のオマージュであろうか。
オリンピア」のコラージュをマスキングしたグレー調の平面作品や褐色の平面と立体作品がインスタレーションのように全体として一つになった展示である。
高い天井の画廊の空間を意識して上部にもミケランジェロの」聖母とオリンピアが飾られ一種祭壇にも見てとれるが、大小それぞれの作品も単独としてもたのしめる。
手法的には工作である。
合板、段ボールを裁断し重ね着色。
コピーのコラージュをテープでマスキングして、ニスのコーティング。
内と外、外と内の交互反復で内と外の境界(現実)をあいまいにしていく。
そこに最小の褐色の色彩が現出するもののようで、絵画の平面と色彩のテーゼがとどまるが、作者はその先を模索したのしんでいるよう。
表現、創造というものは対象や立場との接点はもちろん、より強い接点でなければ、どんどん遠のいて行く。
工作という行為、感覚を復権さすこと立つ位置は見えてきたのだろうが、ぎりぎりの絵画の淵に立っているのかもしれない。
50代。まだまだこれから・・を意欲的に見せてくれたのではないか。
※「オランピア」とはフランスでよく娼婦の通称として使われた名前のようだ。

東日本大震災を目の当たりにしてあらゆる創造の表現力のなさを感じさせられた。
そこで、思い出すのがアンドレ・ブルトンの「シュルレアリスム宣言(巖谷國士訳)」の一節。
”親愛なる想像力よ、私がおまえの中でなにより愛しているのは、おまえが容赦しないという点なのだ。”