服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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雨を描く

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トイレに入って思い出した。
梅雨の時期に雨が降ろうと田んぼの水路にハヤ釣りに行ってた。
送電線の鉄塔が立つ水路に腰を下ろし傘をさし釣り糸を投げた。
雨が水路にも路にも落ちてる。
雨が地上に落下してぶっつかる様子を描いたデヴィッド・ホクニーのデッサンがある。あのホクニーが。それを見たときはショックだった。
地面に落ちた雨は飛び散り波紋を作る。見えて見てない部分をじっくり観察している。
自分もいつか自分の雨を描きたいと釣り糸を垂れていた。
大きな亀が密かに水路の岸から顔を出した。
プラスチックの赤い浮きにも雨が当たる。
毎度10匹程度の釣価だが、天ぷらにしてビールでいただいた。
家の小学生の子どもたちもおいしいと食べた。
今その鉄塔のある場所は大きな較差点となり新しい街が出来ている。
鉄塔でもなければわからない。
自転車につなぎ竿をくくりつけ、雨傘をさして田んぼまで・・と今はそんな風景も似合わない。
ちょっとの間に時代も環境も変わり果ててしまった。
映画では黒澤さんの”羅生門”に降る雨が一番だ。
雨宿りの羅生門で男たちは何が真実で何がウソか判らなくなる。
変らぬものは欲望と希望の不条理か。
この時期、雨音に憂鬱になるよりは、諸々の地上物に落下しはじける雨を改めて
見てみよう。