台風

長い外国旅行から帰って来たように何かを反すうしていた。　台風は九州に上陸し、ゆっくりと北上、接近している。　久しぶりの雨。風も強いが、心配するほどではない。　台風で通りはががら。　Ｓ子さんを美容院に送り、再び深くソファーに収まり、何をするでもない。　空白感に包まれるとき、いつも同じく天候も変化していたようだ。　少年時代、青年時代そして今も空白に湧き上がる期待と不安の恍惚の抄。　再び、美容院へ、そして唐人町の画廊へまわる。　故萩原俊樹さんを囲む西高有志の展覧会。萩原氏がいない、と言うのもまだピンと来ない。　女店主は揺れる並木をうかがいながら　「台風、ひどくなるんでしょうかねぇ・・」　「うーん、大丈夫でしょう」。