服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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16歳の感性の符合

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W高のK島先生からボクの個展を見た1年生42名の感想レポートが届いた。彼らは感じたことを言葉に文章にできるのである。見えないものを読み取る感受性溢れる16歳である。ボクにとってもこれだけの人から文字に表現してもらうのは初めての事。何となくの鑑賞者の感想と、自分なりの感想で終わるのが、今までの個展。こういった有意義な形もあるのだと今回知ったし、教えてもらった。いつでも出来ることではなかろうが、イイくじを引かしてもらったような心境である。ありがとう。思春期というのだろうか、生徒のみなさんは、他人事ではなく自分に重ね合わせて読み取ろうとしているのであって、自分の言葉で喋っている。語彙が豊富で、中には鋭い指摘もあったり、評論家まがいの奥ゆかしい感想もあった。単に勉強ばかりしている若者でないことがを改めておもいしらされ、うれしい限りである。後々、トップに立つにも、人間的魅力も頭脳の他に感性の幅にかかってくるとおもう。好きな作品の投票も全般にわたっているが、「ダイビング」「トロンプルイユ」がダントツの一位。続いて「オデッセイ(シリーズ)」「ランナー」「ブルースペース」「クレータークリーク」が上位であった。そして、大人の評価が高かった「ドラゴン」は一票もなかった。「ダイビング」は数年前の夏の日、目撃した上陽町(福岡)の渓谷にかかった吊橋(飛び降り禁止の看板)から川面に落下していく小中学生の姿である。暑い夏の日の真昼に、少年たちは肝試しのように大人への儀式のように「あああ~ぁ」と落下しては水しぶきを上げていた。ありったけの未来と残酷な現実が育まれ同居する思春期。美しくも歯がゆく、くやしい青幻の記。種を明かせば「ダイビング」にあったのは「暑い暑い夏」と「死(自殺)」のイメージであったが、そこに触れる者は一人もなく、ある意味幸いなことかも知れない。あらゆる可能性の門の前に立つ15、16歳は後の自分を決定する逃げてはならぬ欲望の場面であろう。