服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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津軽三味線 高橋浩寿&浩寿会

津軽三味線 高橋浩寿&浩寿会  津軽三味線 高橋浩寿&浩寿会 佐賀市文化会館中ホール800席が満員だった。会場の照明が暗転し緞帳が上がると、真っ赤なひな壇にセルリアンブルーの着物姿の子供、大人、総勢23人がドドーンと三味線を構え出現。わーっと会場がどよめくかいなか、浩寿先生の掛声を合図に”あどはたり””津軽よされ節”の大演奏となった。 小学低学年の子供たちが頭上にまで伸びる太棹を短い腕で行ったり来たりして操る大人顔負けの奏法に感心の客席であった。浩寿先生は民謡も指導されていて、大人、子供の熱唱がたくさん演じられ、中には玄人はだしの人もおられた。 高橋浩寿さんはまだ若干26歳。3歳で民謡をはじめられ高校生の時に津軽三味線の免許皆伝となり、数々の民謡、津軽三味線の全国大会で受賞され、今もまだ全国大会に挑戦されてるバリバリのアーティストでもある。 元々、お父さんが尺八奏者・杉原楠童さんであり、恵まれた環境とはいえ卓越した才能をお持ちのようだ。 子供たちによる「花嫁行列」は場内に笑いと涙を誘った。 白無垢の花嫁、紋付袴の仲人、箪笥長持ち等の行列が下手より登場する。大人の恰好をした子供たちである。場内には笑い声が・・。パントマイムのようなわずかなしぐさだけの行列。花嫁と母親との別れのシーンもパントマイム。今舞台で演じられているのは、大人ではなく子供たちなのである。セリフのない無言劇と言えばイイのか。 かわいらしい子供たちのしぐさに、孫を見るのか、若かったあの日を見るのか、観客はかってに想像力を膨らまし、場内は、笑いとも涙ともつかぬ舞台と一体となったイイ雰囲気なのだ。途中よりお百姓さんの恰好をした女の子が”箪笥長持ち歌”??を歌い出すのであったが、黒澤さんの映画「夢」での”狐の嫁入り”のシーンのように、演出にも光るものを感じた。訊けば演出も浩寿先生とのこと。 三部・ゲストコーナーでは父娘・楠童さん、浩寿さんの息の合った民謡デュエットには親子のたのしさをとおして花咲く未来が見えるようであった。 ゲストの村上優山さん(熊本)と匹田大智氏さん(大分の高校3年生)と高橋浩寿さんのコラボは圧巻。これを見る、聴くまで帰れないというところであった。 叩きつける激しい加速的な津軽(演奏)。三者三様、一歩も引かぬ和みのコラボにしばし酔う。和太鼓をたたく美波鼓三郎さんは「もう、ついていけない・・」と途中で退散。 真剣な男性二人に挟まれて笑顔なのが浩寿さんである。必死さを見せない女性としての表現なのであろうが、三味線さばきはご両人に負けてはいない。表情とは裏腹に強いお方のようだ。 その静と動のクールさに裏打ちされた品格さえ感じる。 「よかったね」「すばらしかったー」と興奮の余韻がホールから館外へと・・。ほっとされたことであろう? 入場料・1000円!。5時間に及ぶ練習の成果も”あっという間”の充実したコンサートであった。 出演の皆様、本当にありがとうございました。 また、いつか見せていただきたいものである。