服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

tomatotiger8.sakura.ne.jp

六本木クロッシング2010展 芸術は可能か?Ⅰ

イメージ 1

イメージ 2六本木ヒルズ森美術館に行く。
52階の展望台回廊からは、東京タワーが眼下に見える、
足元が高層のビル群に覆われたひまわりのようにだが、意外にも、オレンジ色の鉄骨タワーは貧弱どころか、気品さえ備え美しいのだ。
六本木クロッシング2010展 芸術は可能か?」を見る。
森美術館んの企画展で3年ごとに開催され、今回が第3回展である。
国際的にも活躍する30代~50代の20組による写真、彫刻、インスタレーション、映像、グラフィイティカル・アート、パフォーマンス、など全く違う作品同士が互いに刺激しあい交錯する。
エンターテインメント性のある作品が多く選ばれたようだ。
職人的でもあり日曜大工的でもあり、妥協の無い制作欲が、そのボーダーを限りなく可能なアートへと開花さしているようだ。
時代は確実に動いている。
45年前に見たソニービルでの「人間とテクノロジー展」の衝撃からすれば、そこ(六本木クロッシング・・)に不安はみえない(見えさせない)。
ペインティング、写真、映像、ビデオなどを日曜大工でもするかように、宝箱、工具箱、ジャンクボックスをひっくり返し、そこから好きなものを組み合わせて遊んでいる子供でもあるのだろう。
複雑な世界(日常)が統制されアートの地平をストレートに見せている。
もちろん、アートは可能である。
久々の感動に、そこから立ち去る事が出来なかった。
感動とは「うーん」と立ちすくむものではなく、」うれしく笑ってしまうもののようだ。
☆加藤翼の「H.H.H.H」は巨大ボックス(ハウス オブジェ)を数十人でロープを引っ張り、グランドや路上で回転さすことで形を変える(かなり危険そう)プロジェクトも一点集中型で雲一つない晴天の青空のように爽快。
☆HITOZUKI(日と月)の『The Firmament』は一部屋を黒とブルーでペインティングした巨大なインスタレーション。巨大銭湯の壁絵にも感じるローラースケート場。制作風景と実際にこの上でスケーターが滑ってる映像もながされている。とにかく圧倒される大きさである。
宇治野宗輝サウンドスカルプチャー『THE BALLAD OF EXTENDED BACKYARD』。今回、ボクの一押しの作品である。
巨大なロボットのようなAV装置と自動車が立ちはだかる。
ほとんど手作りのアンプ(中には茶箱を使ったものもある)が5段にも積み上げられ、鍋、エレキギターインパクトドライバー、パンダのぬいぐるみ等が張り付いている。
前でしばらく待っていると、これら付属の部品ががリズミカルに動きながら車内では詰め込まれた蛍光管がカラフルに点滅しドルビーサンドをたたきつけるように奏で、実にたのしい。コンサート会場でもゲームセンターでもない美術館なのである。
ティンゲリーの動くオブジェ、大竹伸郎の音響オブジェハウスを想起するが、怪物AV装置とイイ音響とよく、これぞ取りつかれて時間を忘れた飽くなき工作少年。時代も未来も総てが内包されまた発散されており、今回の「六本木クロッシング2010展 芸術は可能か?」はこの作品の為にあったのではないかとさえ思ってしまうのであった。
☆無数の反射板を張り付けた☆鈴木ヒラクの巨大オブジェもただただ圧巻、美しい。
☆無名、無題(名前のイニシヤルのマークだけなので取りつく島もない)のさまざまな宝物(コレクション)を床から天井まで陳列してその下に不気味に人形の人間が布団にくるまっている。作者名がマーク。作品名もマーク。と存在を消した作品主義の現れか?好きだな。
そして、アート界の重鎮☆森村泰昌は、ヒットラーに扮する映画「チャップリンの独裁者」のチャップリンを真似する『なにものかへのレクイエム(独裁者を笑え スキゾフレニック)』の映像を展示。とにかくおもしろいおじさんである。(東京写真美術館でも氏のモノマネ展が開催中であったが、月曜休館で見られず)。
☆最後の部屋を飾るのは、伝説的なパフォーマンス集団☆ダムタイプの公演『S/N』の記録映像(85分)であったが、上映時間外であり、残念。次回に見よう。
展覧会タイトルの副題になっている「芸術は可能か?」という言葉は、「ダムタイプのメンバーで、エイズによって他界した古橋悌二によるものです。」とパンフレットにあった。


別室では併設展として「ジュール・ド・バランクール展」も開催中だった。
NYのアートとシーンを代表する作家の一人。純然たる平面絵画ではあるが、「一点における絵画の強さ」「現代性」をまざまざと見せつけられ、絵画の可能性も「YES」であると笑えて来た。※写真は宇治野宗輝氏の作品など。