服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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道は険し・佐賀北、夢破れて

イメージ 1夕方、Kくんから電話。
ピンときた。「おい、負けたよ、イイとこなし、1時間経ってもまだ(彼ら)泣いとったよ・・青春のつらさをまた味わったよ」。
「まっすぐ家に帰るのもなんだから・・ラーメンやに来たけど、食べたいような食べたくないような、すっきりせんなぁ・・、あれあれ、橋の上から鯉を見ているきれいな女の人がいるよ、この暑いのに・・、とにかくラーメン持って今から行くから・・」とKくんがやってきた。
Kくんはどさっとアトリエのソファーに腰を落とした。
ラーメンではなく北高の女生徒からもらったというお茶をポンと出した。
酒呑んだように目の周りが真っ赤。「日焼け止め塗ってたけど効かんな」。
がっくりと肩を落とし、一瞬、目が虚空を泳ぐ。
高校時代、何を見つめるのか、よくKくんは休み時間に教室のベランに直立してどこを見るでもなく、漠とした田園を遠望していた。
ボクらの青春もボクの青春もそこにあるようだ。遠望する中にあった景色、風景を今も忘れず、また、追い続ける。
甲子園・高校野球を決める地区予選で早々と母校佐賀北高が負けたのである。応援に行くからには内心、期待は大きかったであろう。
ボクは行かなかった。後で結果がわかればイイ。
8対2で龍谷高の勝。
「ヒット数は同じだったが、ヒットが次に繋がらない。あるはずの山すらない。受けて立つようなきれいな野球しよる。同じ負けでもこれではいかん」新人戦は優勝したけど、県大会、NHK杯とぱったり。「重症だね・・」。
「ユニホームから何かな何まで取っ払ってゼロから出直す必要があるかも、」。
全国制覇から3年、まだプレッシャーがあるのだろう。
イイ方にでればいいものを・・裏目に出てる。
佐賀商高が全国制覇した直後も似たようなものだったと。
「呪縛を解かんといかん・・」。
ましてや公立校の進学校が甲子園に出てくるなど奇蹟であり、あり得ない時代である。
それだけに希有でミラクルで、希望で、負けじとやってほしい。
喋れば喋るほどむなしくなるだけ。
「泣くなといってやりたいが、これも青春。このいやーな・青春ていうやつを味わいたくってね・・」。
ひょっとしてKくんも彼らといっしょに泣いたんだろうな、と。
ふと思い出したようにKくんは大会のプログラムを残して帰って行った。


夜、3年前の甲子園大会「佐賀北対帝京」と「佐賀北広陵」のHDDを見る。あの日の感動がよみがえる。ねばれ、きばれ、がんばれの精神で泥くさく貪欲にクールに球を投げ、追い、打ち、塁を狙うすさまじい闘い。名門校であろうとなかろうと常にクールで臆せねチームワークで挑んでいく。
あのクールさは北高だが、臆する弱さを超えていた。
北高諸君、呪縛があるのなら、そこを乗り越え文武両道をあらわに実践してください。