服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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磁場展初日

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磁場展初日。二日酔いの川本さんとボクが平静をよそおい当番を勤める。
常連さんが次々と見に来てくださる。
近年、磁場の入場者が増えているのはうれしいことです。
さて、メンバーの作品を簡単に紹介しましょう。
 川本さんはS100号のアクリル画「現実と夢と」を2点。
前回とはがらりと変わって、赤がグリーンに、ガラスの破片やビー玉がビル群に変貌している。
フレッシュで若々しい。
作者の場所からのビル群が森や水を透して見えてくるのであろう。
題名よりはストレートに幽なる時空間が現出している。
また、アクリル一本の川本さんだけに、アクリルが美しいのである。
油彩でこうはいかないだろう。
 陣内さんは21点・大小の作品を花壇の様に配置して「中庭」にした。
偶然に生じる抽象的な色や形態に基本的な興味や好奇心がある人だが、今回は淡く彩度が下げられ、植物の形態がフロッタージュされており、化石の岩盤のようでもある。
彩色にはクレヨンを使ったというが、ノウハウは不明(訊いてない)。
 塚本さんはP150号・5点とM100号・3点の大作を出品。
本格的な個展とも言える。
ユーモラスな形や線になんとなく吸い込まれてしまうのも、オリジナルな彼独自の下地や色があるからだろうし、余白と無骨な線が等価によりそいたのしく自由な世界を生んでいる。題名も「心は叫ぶ」「月影たのしく」「嬉しい心」「僕の中に」「自分の存在」など。
 中尾さんは例のひし形キャンバスに農夫婦を描いた。多分義父母であろう。
このところ故郷や家族や友を捉えることで自分の位置を確認しているようでもある。ひし形の農夫婦の周りには、カエル、サギ、イヌ、アカトンボが描かれた三角キャンバスが配置され「農讃」となるのだろうが、それではすまないモノが隠されているよう。
 西村さんは毎回現場制作のインスタレーション
墨で着色した和紙を昆布状にして、ブースの中央から放射状にブースの外へと伸びる形状を創った。「DON!」と鳴った花火を連想したのだが、クモや巨大蛸が触手を伸ばしたようでもあり、日ごろのうっぷんを淫びに晴らそうとする作者自身かも知れない。
 服部さんはベニヤ板5枚をつなげた4.5m×1.8mにアクリル。
その上に磁場のメンバー11人の顔を張り付け「磁場の11人」とした。
やりたいことが多くて、毎回ころころ変わるようでもあるが、
ただ、理屈なくドドーンと見えればそれでイイと、クリストの明快さを目ざしています。
 宮崎さんは今回控え目に1点。
白い画面の「線」の時代が長かったのだが、近年「色彩と形による」線から面に移行した。白い画面に深紅の赤がショッキングピンクにも。
微妙な色の層の融合が醸す色と形の同時成立を同次元で可能とするのだろう。
 山田さんは以前旅した「桂林幻想」。これまた従来の「葦とサギ」シリーズとはちがう。一見水墨画にも見えるが、アクリル画である。
アクリルで水墨画を狙ったとも見える、見方によっては不思議な絵であるが、大自然を前にした一人の人間の悠久桂林の賛歌であろう。
 若林さんはF60号とパステル画の2点。
若林さんは20代のころよりずっと同じモデルを繰り返し登場させ描かれている。ランプ、楽譜、小舟、扉、ガラスの浮きなど透き通るように繊細に作者自身のように描かれている。心象風景である。幻想的に外へ向かっていた題名も前回の「漂流」?から今回は「Home of a homeless」と意味深よりも内部に向かっているところがちがう。
内と外をつなぐところに描くことがあるのだろう、いやつなぐために描くのかもわからない。そこのところは誰しも変わるまいが・・。

長くなりましたが、ひまつぶし、ひとりごととしてごかんべんの程を・・。

磁場展の全作品は、表紙・磁場展にて公開してます。