服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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10年目のるーゑ 寄席

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「るーゑ 寄席」も11回目で10年という。
2,30人で満杯の小さな店のころからよく続いたもんだ。
当初よりずっと橘家蔵之助、桂梅団冶のご両人の出演であるが、今回が一番の大入りとなった。およそ70人が広くなった店内に超満員の2時間。
店主・席亭・山口邦男さんと両師匠の間で「互いに無理をせずやろう」というのが基本にあったらしい。師匠らもスペースをどんどん広げるよりは、今ぐらいがちょうどよく、やりやすいという。
そこは観客にしても同じ感覚であろう。噺家とお客の距離感。互いの表情が見て取れるという臨場感に尽きるのかもしれない。
大入りとあって、その熱気は噺家にも心地よい緊張感となって現れる。
(手作り)ステージの緊張感をぬけて今回は特に話芸としての緊張感が伝わってきた。
梅団冶さんは最初か入ってた。演題もその場で決まるらしいが、「子褒め」を飛ばしに飛ばしの熱演で笑いをさらった。
今回はラジオ、テレビでもあまり聴いたことのない四題。「子褒め」「茶の湯」「宇治の柴舟」「だくだく」と一気怒涛の2時間であった。
舞台、照明装置、テーブル、椅子らの撤収もお客が協力してやり、店を原状復帰させるのも習わし。
だからその後の御両人をまじえての懇親会も垣根を超えて隣保班的にたのしい。場所は昔の花柳界通りにある古風な料理屋の座敷。かと言って料理は家庭的な素朴な品々。間近に落語界の話を聞けるのも無礼講である。
師匠にとっても人と触れ合う巡業は有意義なことではあろう。
御当地では”旅館・あけぼの”さんも「あけぼの寄席」をずっと前から好調に続けられているし、ホールなどでの寄席・落語会も近年富に増えてきた
が、「るーゑ 寄席」もるーゑのスタイル、カラーでこのブームをけん引しているようだ。
過渡期10年を過ぎ、これからもおいしいコーヒーとおいしー笑いの場所であることでしょう。
「互いに無理をしない」という加減が、ちょうどイイ熱燗、というところで、乾杯、ごっぁ、んです。