山田直行展
山田直行展(川副町田園の郷ギャラリー)。
雨の日が続き夏を忘れそう。
雨が明ければ秋になっているかもしれない。
布地屋に寄り広い店内を見学。
ご婦人たちがあれやこれやと店員さんと相談しながら布地を選んでいる。
何かを作る人たちなのであろう。
選んだ生地で服が作れたらたのしいだろうな。
それは無理だけど、服にとらわれなかったらいろんな表現が出来そうである。
昼食にチェーンのラーメン屋にはいるが、脂ぎって気持ちワルい。
ここまでひどいとはね。
本日の目的、川副田園の郷ギャラリーの「山田直行展」に回る。
今日は正面からではなく西側のギャラリー専用入り口から入る。
川副支所の職員さんにも会わずに済むので、これがお互いにもイイ。
3階まで階段を上がる。
今回も、他にお客はいなく、good healing である。
「ダクマンチョ(テナガエビ)」「YOSHI(芦)」「白き山(マッターホルーン)」が並ぶ。
原色を思いのほかにぶちかましていた月下シリーズ、花鳥風月シリーズ後の
色彩を最小に制限したダクマンチョから現在の「白き山」までの作品8点と小品の水彩「花」2点が飾られている。
磁場のメンバーでもある直行さんだけに、その十数年間の心の移ろい、機微はわかっているつもりである。
それだけにイイところだけが見え、それぞれの道程を共有するところである。
直行さんは静かに裡(うち)を見つめているようだ。
筑後川の畔の黒津村に生まれ、そこを在所としてきた。
エビやウナギを獲り畑仕事をして学校に行き、家に戻りアトリエに入ったり、近所の田畑を歩いたりと・・、描くことも生活の部分であり、生活も描くことの部分であったり、抗うと崩れそうなバランスを何とかもたしているのであろう。
かつて、若いころ直行さんのアトリエに行くと草鞋が柱にぶら下げてあった。「旅人のように一歩一歩行きたい」と。
自分の生まれた,立っている風土、環境、自然を誰もがよりどころとするものであるが、そこもまた、むずかしい。
見えすぎて、違和感だけが見えてしまうというパラドックスにすべをなくすこともある。
真っ直ぐに立つマッターホルンどこまでも広がる裾野。
筑後川の大きさと川の両岸に広がる田んぼ。
田んぼのクリークには人の侵入を拒むように芦がぎっしりと群生する。
芦は雨にも風にも嵐にも倒れることはなく、枯れても真っ直ぐに立ち続ける。考える葦である。
水彩画では自然な風景を思いっきり緑で表現する直行さんだが、こと公に発表する大作には緑は影を潜める。そこで画面を支配するのは枯れ色というか褐色と黒である。地塗りも褐色をほどこすようだが、精神、内面にある色が褐色なのであろうが、従来の泥色ではなく洗練された褐色なのである。
アントニオ・ロペスの褐色も故郷トメリョソの風土からくるものであるといわれるが、直行さんにとっても無意識下の自然なことで、そこに至っては一歩も譲るまい。
直行さんもアントニオ・ロペスをいち早く絶賛していた。
沈潜の次には地割れか、崩落か爆発が来るのだろう。
そんな先が感じられる展覧会になっていた。
(※今回はこの辺まで・・。)。