服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

tomatotiger8.sakura.ne.jp

風が吹くと

イメージ 1
風が強く冷たい。
こんな日は外で絵を描くのがむずかしい。
描きたくなくなる。
雨や雪ではなんともないが、風が吹くと歯医者が損する?。
そこで思い出すのがストックホルムのシティーホールの海岸で絵を描いていた絵描きだ。
繰り返すが、後にも先にも彼の姿は最高に不動である。
もう暗くなりかけたシティーホールへボクも心のよりどころのように歩いていた。誰もいない12月のシティーホールの庭。寒風に身が引き締まり嗚咽するような瞬間の生。若干22歳,感傷もメランコリックもなく、あるは、かすかな望郷ゆえの明日。
行く前方に人影が。対岸のガメラスタンに向かってイーゼルを立て絵を描いている。意を決して近づき話しかけた。一言二言。
その会話ももう思い出せなくなった・・。
鋭い目つきが緩み、彼はほんの一瞬微笑んだ。
ひげ面に鼻水を垂らし激しいタッチでボクが働いていたガメラスタンを描いていた。油絵か水彩画だったかも思い出せない。
あれはボクが創りだした幻想だったのかも、と思うこともある。
雪かみぞれも降っていた。
挑む彼の姿が、この時期の寒さと共にふと現れる。
あの人にとっては特別なことでもなく、普段の行動だったかもしれない。
そう思うとよけいにくやしく泣けてくる。

小郡のキリンビールの駐車場で、爺ちゃんと若夫婦とその子ども二人が何の前触もなく野球を始めた。
寒風に時折陽が射して、イチョウが家族をまた照らす。