服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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37年ぶりの再会

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神崎の国道沿いにS仏壇屋さんがあって、ずっと気になっていたんだが、
今回、思い切ってお店に入った。
年配の女性が出てこられた。
「失礼ですけど、40年ぐらい前にC画廊を通して机の絵を買われたと思いますが、」
「ああ服部さんですね。100号の絵ですね、自宅の玄関に飾ってますよ」
「絵を見せて欲しいのですけど」
「主人の仕事場の前が自宅ですので、散らかってますけど、どうぞ、主人に電話をいれておきます」
当時、ご主人のSさんとは何度かお会いしており、住所は確か久保和泉であり、
神崎のお店とはなかなかつながらなかった。
佐賀市工場団地のKOITO製作所の近くであった。
開いた窓から作業場を覗くと、作りかけの仏壇の部品が一つあるだけで、誰もいない。
床に段ボールが敷いてあり鳥の糞が飛び散っていた?!
天井を見上げるとツバメの巣が数個蛍光灯の傘の上に並んでおり、
蛍光灯も糞にまみれている。
作業場でありツバメの家でもある。
異様ににも見えたが、すぐにおかしくなった。ツバメといっしょに仏壇作りをされているんだ。ツバメの気配はなかったが、毎年来るのだろう。だから窓を開けてあったのだ。
自宅にまわる。広い石庭の中に立派な家がある。チャイムを鳴らし玄関の戸を開けるとSさんが微笑み立っていらした。そして正面右にボクのF100「机におけるランドスケープⅡ」が目に入った。
Sさんの顔も忘れかけていたが、笑い顔と素朴な口調に37年前が瞬時に復活するのであった。
お上がり下さいと言われる前に、ボクは靴を脱いで絵の前に立っていた。
太い頑丈な額縁でアクリル板が入れてある。その中にある机の絵はまぎれもなくボクが描いたものであるが、どこかよそよそしかった。
「あのころは銀行の関係で、その上の階にあったC画廊によく行ってました。
佐賀の人たちの絵を買ってましたが、月賦ゲップでたいへんでした」と。
当初「服部さんが、気になるところがあると、C画廊がこの絵を持って行きましたね」と、よく覚えておられる。
そう、絵具が化学反応を起こし剥離する心配があったので、引き出し部分描き直したのである。
見たところ大丈夫である。
ボクがずっと気になっていたというのは、それでもない。
データとして作品の写真を撮っていなかったのである。
そこで作品の写真を撮らさせてもらったのである。
アクリル板の汚れや外の光や照明の反射はどうしようもなく、また表に出して撮るのも無理。何とか左右を撮ってパソコンで合成し画面処理をした。
大事に飾ってもらっているということも判り、37年ぶりに念願がかなった。
必要とあらばまたお邪魔すればイイ。
ああ、ツバメの一件を聴かねばならなかったが、忘れてた。