服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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画家・岩永京吉と家族

「岩永京吉展 残されなかった作品・幸せを描くことの意味」

岩永京吉美術館 12/1~ 2021/2/28まで

家族をテーマに取り組んでおられたころの大作は、日展などに出品してもことごとく落選されていたようである。

そんな作品たちに光を当てたユニークな展覧会である。

娘婿で館長の石川さんが今回も企画された。

ただ、作品は洗い流され、その上に新しく描かれたりして現存しない。

かろうじて資料として記録の写真が残るだけで、写真の拡大コピーの展示となっている。同時に作品となるまでの作者のメモ、デッサン、試作などの制作過程に興味をそそられる。作者は普段より制作過程を入念に記録されている。

前回の展覧会で見た「鯉のぼり」でも感じたことだが、下絵、スケッチデッサンなどを見るに佐賀にはないセンスの持ち主ではなかったかと思う。

余白を主体としたり、水平 垂直の構図、シンメトリー化、情緒 情感を抑えクールに対象と向き合うという姿勢に見える。まだ見ぬ新しい地平を目指していこうとするのであったろうが、選外となり、家族の肖像は消し去られた。

他人の目・評論家、審査員の目は眼鏡をかけても不確実なのである。

次へ動き出すには家族の記録といえども覚悟が要ったのであろう。

その無念さ悔しさは遥かかなた。すがすがしいくらいだ。

かろうじて助かった家族の肖像画数点が展示してあるが、それを物語、証明している。鹿島という場所で画家は生き何度でも挑戦する。

 

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