服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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祭りの後のパラノイド

<祭りの後のパラノイド>
黒いオルフェリオのカーニバルに幻覚する男女の追い詰められる不安な一夜の心理バラード幻想劇だったと思う。57年前・1966年、19歳。
U君が教えてくれた池袋の人生座で見た。100円で名画が2.3本見れた?
池袋東口を出た大通りを4.5分歩いた歩道の左側にあった。映画館のきらびやかな外観はなく薄汚れたように地味な映画館なのである。
黒いオルフェにもショックだったが、100円には驚き。選択するまでもなくすごい映画しかかけないのである。作品が変わるたびに高田馬場から池袋まで100円と電車賃をポケットに通った。言うまでもなく映画ファンの気持ちの判る映画館なのである。しかし、2年後1968年に惜しまれ閉館となった。
 熱狂のリオのカーニバルの怪しい幻想の夜。男女は訳もなく仮面の人物に追われる羽目になる。カーニバルのピークが過ぎ後半へと変換する時間感覚が映画にスピードと恐怖を増殖していくのだが夜は明ける。しかし、祭りの後の寂しさへと話は行かず、幻覚から目が覚めるようにコッペパン島の海に日が上ってくる。原作の戯曲家には不興だったらしいが、映画は大成功。またその音楽「黒いオルフェ(フェスティバルの朝)」が映画以上に素晴らしかった。