服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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傘寿記念 染色 小川泰彦展

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朝湯ですっきりして、ぽかぽか天気の城内に出掛けた。桜が満開である。まずは美術館へ。「傘寿記念 染色 小川泰彦展」を見る。日展初入選の作品(今回は写真のみ)から現在に至るまでの作品を一堂に展示してある。堂々たる作品群である。有明海をテーマに潟の海を淡いブルーのトーンで美しくも切なく詩ってある。引き潮、満ち潮があるように、動と静が反復し、何をか言わん、唯一つ、永遠の海が不動である。絵のネルギは過去のものであろうと額にはいっていようと、太陽のエネルギーを内包している。核エネルギーともちがうそれ以上のものである。創るのがたのしくてたまらないという展開である。ここに小川先生が画集に書かれていた言葉を引用する。


 ”ー独り言ー広々とした海の堤防には人の姿はなく、ただ一人スケッチしていると、いつの間にか独り言の癖がついた。「あ、シギさんストップ、いま描いているから・・・」「むつごろうさん、そのままで穴にもぐらないで・・・」などなど。勝手ないいぐさである。そんなある日、昼間の空に淡い月の姿があった。「あ、お月さん、ここまで降りていらっしゃい・・・。海は鳥たちのショーで楽しいよ」このイメージが宙シリーズのきっかけとなる。”


 傘寿とはとても思えない、いつお会いしても若々しいままの先生である。馬力パワフル、重厚な作品が先生に老ける余裕を与えないに違いない。表現形式も長い時間の中で様々に変化しているのが、伺える。変化はまさしく、飽くなき探究と葛藤の表れである。回顧展ならではのよさである。日展初入選の作品だけが、題名も「裂」といかつく、また黒い色面に白く裂け目のはいった抽象表現なのである。時代がそうだったのか、有明海を抽象化するところから接近していかれたようだ。ボクも僕の有明海を見つけたいとゆるやかにおもった。