服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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今年初めての「裸の島」

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昨夜、「裸の島」の話になったので、また家で見てみた。
見るごとに新たに読み解けるものがある。内包する映像のマクロは深い。
本土から桶に水汲んで小舟運び、島の頂上の畑まで天秤棒で水桶を運ぶ夫婦。
よたよたとつまづき転んだところで不思議はない。
リハーサルも必要ない。
演じる以前の問題のようでもある。
転んで桶ひっくり返した嫁に夫はビンタをくらわす。
ある日嫁はわざと水桶をひっくり返し、畑のジャガイモの苗をめちゃくちゃ引き抜き泣き崩れる。
それをちらっと見ただけで、何事もなかったようにいつものように苗に水をやる夫。それを見て立ち上がり、嫁も元通りに水をまきはじめる。
その音羽信子はうつくしい。
島の頂上でのドラムカン風呂、親子4人が食事する。
島からも瀬戸内海の島々が見える絶景。
チェーンで木の根をしばり、丸太をテコに尽力で木の根を取り除く。
一年を通しての島の生活、農作業が限られた映画というの時間の中に見事に映像化されてる。
演技がかなしいということでもない、役者がやっていること自体がフリークの見世物のようにかなしい。無声映画にあって林光のミニマルサンドもかなしい。しかし、映画はその逆を言ってる。
立ち上がり前へ進もうとする人間のたゆまない強さであろうか。
だから後味良く、元気がでるのだ。