服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

tomatotiger8.sakura.ne.jp

新藤兼人監督99歳

イメージ 1
新藤兼人監督のインタビューを二つ見た。
一つは、あの性格俳優ベニチオ・デル・トロさんがインタビューした「一枚のハガキ」制作前の97歳のときのもの。
もう一つはNHK渡邊あゆみさんのインタビューで新藤さんが「一枚のハガキ」を撮り終えた後、98歳の時のもの。
新藤監督、現在は99歳である。
通訳を挟んで黒い革ジャンの監督とデル・トロさんがソファーに腰を下ろしで向き合っている。
デル・トロさんは新藤監督の「裸の島」はじめ真摯に他の作品についても感想や質問をする。
銀幕の中よりもステキでかっこイイ人に見える。
最後に「もうまもなく死にますから、いろんなこと喋っておきたい・・いろんな映画を創ってください・・」。
デル・トロさんが持っていた「ある映画監督の生涯」にサインをして、やっと満足げに笑われ、「今日はたのしんだからつかれなかったよ・・」
パチパチと周りにいた関係者スタッフから拍手が起こった。
と1時間、和やかなうちに終わった。
その一年後の渡邊あゆみさんのインタビューでは、車椅子で「一枚のハガキ」を撮り終え、車椅子での出演であった。
渡邊さんも顔を接近させゆっくりと質問。監督の言葉を目を見て真剣に頷く。
終わって、渡邊さんが「ありがとうございました」とお礼をする。
ここでも監督真顔になって、
「うまくいった!??」
「はい」
「ボクはもう仕事師だから、あのう仕事の結果がうまくいったか、いかなかったか、非常に気になります・・」
渡邊さんの気持ちを込めた「うまくいきました」に両手を合わせ満面の笑みを浮かべた。
同じような内容ではあったが、乾いた心、戦争、おかあさん、原爆は監督の一生の消えない思い、映像、テーマとして貫かれている。
だけに同じ言葉がテープレコーダーのように揺るぎないのであろう。
師匠とも言える溝口健二監督の「ある映画監督の生涯」であるならば、新藤兼人監督の生涯は??と99歳、すさまじいものがある。