服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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高野山のきつね

夜、食事をしようと教えられた食堂に向かうが、奥の院の墓石群が左手に沿って見え、これは帰りがやばいと引き返し街の方角へと向かうが食堂は全て閉っており、土産屋が一店開いていたので仕方なく、梅がえ餅に似た焼き餅を買う。他にも焼き餅を買う客がいて、きっと食いはずれたのだろう。
ここではほとんどが精進料理の宿坊に泊まるので外食はないのであろう。
外国の人たちには神秘的な体験ではあるのだろうが。
ところが、街から戻って行くと先程は真っ暗な店にイルミネーションが点いている。店内は電気を落としスポットライトだけの薄暗さ。
「ごめんください」
厨房のカーテンから若い女性が、出てきて、「ご飯はありませんが、うどんなら、時間かかりますけど出来ますけど」。
10人が座れる程のテーブルとカウンター。3畳ぐらいの薄暗い店内はハワイアン一色のディスプレイ。門前街の奥の院の墓場入り口前である。
砂漠の真ん中に突然出現する奇怪な酒場などタランティーノの映画によく出て来るが、そんな心境で店内を見渡し待っていた。その間も女性はカーテンの奥に消え、旦那らしい男の影も見える
。明日の仕込みなのかジュージューパンパン炒め物をしているようだ。人通りもなく、やってくる客などいまい。意外に早くきつねうどんは、出てきた。固めのうどんをビールで流す。背は腹に変えられぬ。料金を払い、ついでに訊いてみた「どうしてハワイアンなんですか・・」「ハワイが好きで、海外が好きなんです・・」まさか”王子の狐”じゃあるまいに・・と夜道を帰った。