服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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鉄道員その2

湿度まかせに暗くなる邦画に対し、「鉄道員」はその日を生き抜くたくましさに希望を繋ぐ。西欧人の図太さ骨太さか。たくましさで対抗したのが「わが青春に悔なし」の黒澤明。カメラワークで胴長、貧相の日本人にたくましさを加え、「羅生門」の難解さを希望で締めくくった。「北京バイオリン」の貧しい背景に日本を重ね、ジム・ジャームッシュ「デッドマン」に「鉄道員」とは随分離れた思想を見る。ニール・ヤングのハシシを吸って弾くような血肉踊るギターは映像と拮抗し、会計士のウィリアム・ブレイクから、詩人のウィリアム・ブレイクの世界へと誘う。ヴェンダースの「パリ、テキサス」に流れたレイ・クーダーのギターもそうだった。頑固な機関士の父は亡くなり、少年サンドラは一年生となり小学校に向かう。途中、焼け跡の工場から開始を知らせるサイレンが”ウゥーウー”と鳴り響き、後ろから来た友達が”ダイナカイシー”と少年の愛称を呼び、追い越していく。それに被るようにあの名曲が流れる。Fin。「自転車泥棒」「鉄道員」「ライフ・イズ・ビューティフル」などイタリアは伝統的に子供が登場する名作が生まれる。