服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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鉄道員その1

ピエトロ・ジェルミ監督・主演の「鉄道員」があってた。あの曲に惹かれ、「有楽」に見に行ったのは、中学生になったころだったろうか。その後も何度か見ているはずなのに、内容の記憶は乏しく、機関車と曲の印象しか残っていない。少年・サンドラの目を通して、鉄道員家族の葛藤、絆、愛情を描き、庶民の連携の中で生き生きと荒廃の戦後を乗り切っていこうとするイタリア人のひたすらな活力が希望に見えていく。焼け跡を背景に繰り広げられる人々の生への一途な本能。頑固な親父がいて、夫に反抗さえしないやさしい母、そして、姉弟たちがいる。当時の日本の家族の姿でもある。顔が違うだけで、日本人が演じても成立する映画とおもうが、やはり、顔で見え方は変わる。日本にも同じような映画がいくらもあるが、小理屈っぽく骨細で、人間の本質を解くよりは啓蒙的である。その点、日常をたんたんと撮った小津安二郎の作品が世界的にも評価されるのだろう。子供・少年を登場さすことで、暗いはずの時代も明るくなる。子供は「希望」なのである。「希望」であった・・。その子供が大人の世界を垣間見、触れるとき大人へと向かい出す。希望の未来が業を背負いはじめるときでもある。子供には貧しさと富裕の基準がない。