服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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マーニー

絵を描きながらヒッチコックの「マーニー」を見ていた。
主演:ティッピ・へドレン、ショーン・コネリー
吹き替え版であったので、絵に集中しつつ、テレビを見る。
蛇足ではあるが、絵を描く時に同時に対象(モデル)と画面を見るというのは、普通だが、
テレビ見ながらの時は、3つをほぼ同時に見る。
それ以上の訓練は高校時代からいろいろとやっては来た。
「マーニー」だが、改めて多様によくできていると思う。
脚本、演技、好きになるということ、社会背景、時代、格差、美術などがきちっと押さえ込まれている。
"松本清張"であり"泥の川"である。
いや、ヒッチコックである。
かといってそれも気付かせない演出で見る側を引き込む。
娯楽映画の天才である。
入念に考えられたワンカットや一コマが大事に意味をもって撮られている。
ヒロインを美しく撮るというのは、あたりまえのことであるが、
ヒッチコックは徹底して美しく撮る。
観客は当然それを見ている訳なのだが、ヒッチコック映画の根幹、核としてミソとなっている。映画とはどこまで行っても映像なのである。
光と影なのである。
ラスト、カメラがパーンすると船舶が停泊する港街が現れEND。
ワンカットに「マーニー」の全てが込められているようでグッと来る。
映画も絵を描くようなものである。
逆に言えば絵を描く方式を導入せざるを得ないのである。
見終わって「映画はイイよ、監督はだれだ?」と思えれば満足。