服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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宮崎大治郎個展

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宮崎大治郎個展 村岡屋ギャラリー


正面壁に100Sが3点、両サイドに小作品がずらりと並ぶ。全作品のタイトルが「HANABIRA」。タイトルからすれば、確かに花びらが3つ4つと重なりあってるようだ。従来の線のストロークの上に花びらが落ちて被さったというか、線が透ける。線の実体より”霞む線”に時代のリアリティが合うのだろう。当初より線と面を融合、調和さす手法で「思念」であるとか「情熱」であったりと感情を表出しているかに見えるのだが、作品はクール。以後、タイトルも記号的になった、というより元々記号的作品であった。腕を振り下ろす線のカーブは「HANABIRA」よりも人体の尻や股のラインにも見えてくる。それも女体。花と蝶。エロチシズムが覗く。作者はそんな狙いは微塵もないと言うが・・。限りなく透明に近い白の向こうには?、白が消失していく、その先は何なのだろう。イワシの群れが収縮、拡散するように空間の粒子が集合してある実体を創る過程のようなマクロとミクロを合わせ持った絵画感覚といってしまうほど単純なことでもなさそうなのだ。画面の端にわずかに赤、朱、青がのぞいている。描き加えたのではなく下層の色である。白い画面に鮮やかな色を置きたくなるのは変化である。花びらが包むミクロの世界に潜在的な生命のエロスが浮かび上がってきたとしてもおかしくない。私感でいえば、白い化粧の花魁や遊女の顔であり肉林に見えて仕方がない。すぐに想像力がそちらへと加速する。層を重ねていくことは正に時間である。仮にフィルムを3次元とするなら、フィルムを重ねた高さは時間になる。その原理である。位相、空間、時間それにエロティシズムまで楽しめる。