服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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塚本猪一郎 個展

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塚本猪一郎 個展(G久光とG憩いの2ヵ所)今まで塚本さんのいろんな作品を見てきたが、新しい線の絵画に注目する。改めて線を描く作家だと思う。線にもペンのように細いものから筆で描く太いものまで様々あるが、塚本さんの筆致は泥だんごを壁にぶち当てた時のような連続せいであり、線が面に面が線であったりする。たどたどしくも原初的な骨太の線である。それは初期のころより一貫して作品に見え隠れする。作者の体質と言っていいものだろう。 50歳を境にますますその方向が顕著であるよう。何も加工しない白いキャンバスに黒い絵の具で一見、無造作に日常の諸々が描かれている。黒が余白の白より美しく見える。日本的余白の美ではなく余白と黒が等価な西洋の思想だ。そこには情感はないが選りすぐられたエスプリの解放がある。細くても描かれた線は鋭利ではない。無情にも日常を日記のように線でつないである。キース・へリングの日常の衝動にも似た記録であり、感情は抑えられ、楽しさと自由さおかしさの絵となるようだ。その裏、逆は見てはいけないというほどにつらさが見えない訳じゃないのだが、所詮どちらの方式であろうと変わらないとはおもう。時代をどうとらえるか、捉えているかということだろう。画廊のウインドウから外に目を転じたら通りに設置している作者のランタンアートがみえる。これも仕掛けだったのか?たのしい。美術のゆくべき道を示唆しており、概念をもマーケットの商品とする方向に挑んでいる。