服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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陣内敦個展

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陣内敦個展(ギャラリー久光 ギャラリーIBAH)
大作の他にも図工の時間の延長のように楽しく見える小さな作品もたくさんあ並んでいる。
従来、陣内さんはハードエッジの平面に抽象的イメージの色彩を重層さすと言った考え、スタイルを踏襲している。
厳密にいえばハードな平面にハードを回避する情感を投入しようとする。
ハードと情感の融合を目指しているかに見える。とすれば西洋のハードエッジとは異なりハードスタイルの日本絵画である。
絵具の代りに使用されるパラフィン(蝋)は、和紙、布、岩絵の具らの肌合い見せ、そのもののコラージュにも見える。
作者の狙いではあろうが、物体としての重層(コラージュ)が前へと押し出さ、基底材としてのハードの意味合いが薄れているようにおもえる。
ここで思い出すのがJ・ジョーンズのエンコスティック(蜜蝋)による「アメリカンフラッグシリーズ」である。
キャンバスに新聞紙を張り、エンコスティックを塗り重ね、どこまでも下層が透けて見せる。美しさ以上に見る側は心理的に平面であるアメリカンフラッグの前後に広がる空間を感じてしっまっているのである。
本来、キャンバスなど基底材自体が糸目、布、ファンデーション重層性の延長線上にあり、そこを遮断しようとすれば、状館をみえなくするハードにハードという方向性が向いていると思える。
極日常的な雲、庭、海、風といった自然の感覚を大げさにではなく、自然に表してみたいという作者の自然さは顕著である。
パラフィンの隙間からキャンバス、板、鉄、紙などのテクスチャー(ハード面)が覗いた方がより浸透性も増すのではにかと、陣内さんと話したのであった。