服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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江口孝徳さんの水田風景

曇天の空の下。
白石の共立病院へ身内の検診に行く。
田んぼに水が張られ、鏡のような水田がどこまでも広がる。
田植えの季節である。水田が空になる。
病院が活気があるというのもおかしいが、湿っぽさが無くやはり活気がある。人々が病気をたのしんでいるとでも言いたくなる。
診察を待ちながら、ふと振り向くと背後の広い壁面に水田風景のF100号の絵が二点飾ってある。
まさに今見てきたような鏡の水田である。
広い空、遠くの集落と樹木、水田には田植えする人々や空、樹木家が映る限りなく透明に近づく白い空間である。
一目瞭然、(故)江口孝徳さんの田園讃歌である。
福富で養豚と農業をされ、いかにも日焼けした農民の風貌であったが、
ぎょろりとした目玉が人なつっこく笑う愛嬌のある絵描きさんであった。
人々も「孝徳さん、孝徳さん」と親しく接していた。
重厚に油絵の具が塗り込められているが、すがすがしくかろやかな梅雨の晴れ間である。
孝徳さんの代表作二点が地元でちゃんと保管展示され、堂々と今なお輝いている。
ああ、写真撮るの忘れた。
身内もお医者の不安を取り除くような適格な説明に安堵し生き甲斐を新たにしたようであった。