服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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岡田三郎助―まぼろしの名画

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 岡田三郎助―まぼろしの名画 ”裸婦”一般公開
佐賀県立美術館 7月13日~9月2日)を見る。
たまげた、今まで見てきた氏の作品は何だったのかと思うくらいの落差がある。氏66歳のときの作品である。外光派ラファエロ・コランに学んだというよりも後期印象派そのものにも見える。
単純に考えると東京美術学校の教え子たちの台頭に先駆者としての誇りと威厳を見せつけなければならなかった、と考えて見た。
見事である。外光派的明るさをたもちながらも新たに出現した日本の印象派にも見える挑戦である。しかし気負いはなく古典的緻密さ絢爛さははフェルメールにもつながり、会場で会った美協理事長・廣島さんも言われるようモナリザに匹敵する風格がある。この絵なくして岡田三郎助かたれない。
昭和10年の帝展に賛助出品されて以来、表に出ることのなかったまぼろしの裸婦というが、痛みも変色もなく完璧な保管であると同時に岡田の油絵研究の成果であるのかもしれない。
 野中耕介学芸員トークショーも行われていたが、作品をよく調べてあって興味深く聞いた。一部を除いて写真撮影可能というのも、地方美術館においてはけた外れの進展である。