服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

tomatotiger8.sakura.ne.jp

アボリジニの線引き

イメージ 1

イメージ 2


桜井孝身さんの絵で思い出した。
テレビ番組で日比野克彦さんがオーストラリアのカカドゥを訪ねていた。
そこに登場したアボリジニの画家の制作現場。

画家は小枝を口にくわえむしゃむしゃ。
歯ブラシ替わりかと思ったが、そうではなかった。
ばらばらになった長い繊維を外側からカッターで切り落とし
真ん中の2本を残した。
筆であった。
2本の繊維を束ね絵具を付け線を引くのであった。
絵具は天然鉱石。キャンバスは木の皮。
これだけでもすごい。
顔料、筆、キャンバスは無尽蔵にあり、画材屋へ買いに行くこともない。
木筆の穂先(繊維)全体に絵具を付け、
繊維を寝かせるように筆を払い長短の線を素早く鮮やかに引いていくのである。
直線に限らず曲線も引ける。
日本では大工さんが材木に糸を引っ張ってバシッと墨の線引きというのもあるが
・・。
桜井さんの線は筆のようだ。
道具というものも作らざるを得ない場面も少なくない。
自然の中のものだけでの表現は貴重過ぎる。