服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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雨上がる

季節や時間帯によって表情を変える風景。時にはガラッと変わった表情を見せることもある。
雨上がり靄が上昇していくころ。山の重なりに中国を見ているような水墨状の景色が現れる。西欧絵画でいう空気遠近法である。
スピルバーグの「未知との遭遇」ではCGではなく水に墨を落とした映像を逆に使ってUFOが現れる不穏な黒雲を作り出している。ダヴィンチのモナリザの背景の遠景は空気遠近法であって洪水の跡のような地形を演出する。そして雪舟の「山水図」はそのどちらでもない平面的(フラット)な背景・余白となっている。
日本の余白・空間は西欧のハードな壁(フラット)に近い。ハードなフラットは情緒を避ける強い空間意識の表れではある。浮世絵に見るフラットとは異なる。情緒を導入して浮世絵が生まれたのであろうが、日本人の空間意識は屏風、襖、障子、床の間と常にフラットの中に空気遠近法、パースべクティブを捉えようとする。フラット ファーストなのである。