服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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江口彰個展・三次元の日の丸

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「江口彰個展・三次元の日の丸(G久光)」日の丸が大小の立体作品として床におかれている。日の丸作品の組み合わせが全体としてもオブジェであり、丸、四角、赤、白が原初的な雰囲気である。ここ10年ぐらい画廊の床だけを使った展示、表現をいろんな角度から提示されてきた。迷える人間というか、常に人間の位置を問、確認するかのようである。今回の日の丸は日本人・作者自身として捉えてあるようだ。デザイナーでもあった作者が70数年生きてこられた”日本”と”デザインとしての日の丸”が今回ここに出遭い重なったような展開である。最終章のはじまりなのかも知れない。日の丸の球体には時事的写真が全面に貼り付けられ、その上から赤く塗り込められている。メッセージせい抑えられ、パロディーやキッチュとも違うあくまでオブジェとして留めてある。こういったメッセせいや日本人観、精神せいをもって海外へ場所を移した作家も多くいるのだが、時代は流れ急変していくようでもある。村上隆は浮世絵、アニメをを今日の日本の美術とし、自身がやってることは、ピカソの方式と変わらないという。江口さんは、60年代美術を引きずるよに自分の位置を探っている御当地では無比なる表現者である。「ひもまる」という作品に興味をもった。
白いボードの上に紅白の祝ヒモが円を描いている。
ただそれだけだが、猥褻さ、か細さ、虚実の空洞、怨念、情念を内包する輪に見えてきておもわずニンマリ。ここに江口さんを見た。
反復、虚実、拡大収縮、連動、メタファなどもの派のコンセプトをからめながらも新しい表現を模索する作家である。記号論ともいうべく解読と謎解きは見る絵画とは別の感性をくすぐられる。描くということの精神性、シチュエーションはいつまで経っても定まらずだだをこねるものである。