服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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瑛九展Ⅱ

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北浦和駅前の食堂でなつかしの野菜大盛りタンメンと餃子を食べ、電車に乗る。一駅で浦和である。
大きな町だが、ごちゃごちゃと昔ながらの下町のにぎわいがイイ。
戦後の佐賀の商店街もこれぐらいのにぎわいがあった。
吉武くんが住んでいるのもこの辺じゃなかったっけ?
人をかき分け商店街を抜けるとサンシャインビルがあって、その3階が「うらわ美術館」である。
ここでも瑛九展が同時開催されている。
ここには、絵画の他に文筆家、評論家としての資料とスケッチが展示されている。
若くして新聞や美術雑誌(みづえ)に美術評論を書いていたのである。
人類共通語「エスペラント」を広めたり、デモクラート美術協会を設立したり、版画講習会、美術教育にも熱心で、フォトデッサンには新たな表現の可能性を見たのだろうが、絵画へと戻り点描を始める。
少ない観客が熱心にメモを取りながら見ている。
観客のくしゃみが室中に響き渡る。
印象派風に描いた日本の風景や人物画もあったが、つらい時期にはちがいなかろう。光と見えたものが次々と閉ざされ、亜流としての自分さえ見えだしていたのではなかろうか。往き着くところは点描画になる訳だが、これまたつらい。
出口近くに紙片にさっと描かれた線と点のデッサンが2点あった。
未来を暗示するようなさっと吹く風のようなデッサンである。
油絵やフォトグラム、すべての表現の根幹にあるものが、瑛九さんも気づかないこの風のような空間、風のような思想ではなかったのか?と思いながら美術館を出たのだが・・。
見え易く判りイイ絵や表現者ばかりではない。
夭折であろうと長命であろうと火と燃えろ!