服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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”CUTIE AND THE BOXER"(キューティー&ボクサー)

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篠原有司男ことGyuちゃんと乃り子ことキューティの夫婦の”CUTIE AND THE BOXER"(キューティー&ボクサー)を地元のシアターシエマで見た。
お客は意外に多く7人だった。
「牛ちゃん、今日は80歳の誕生日よ」と起きてくるところから始まる。
このとき奥さんキューティ・乃り子さんは59歳。
40年間のアーティスト夫婦の記録と言うが、ほとんどは後半一年間の記録だそうである。
生活はきびしくとも相変わらずタフに制作する牛ちゃん。
手に負えぬ猛牛も80歳。
40年を経てやっとキューティもぽろりと表現テーマとスタイルを生み出して作家としての自分の道を見つけ出す。
アートにはまった男の連れ合いは大変を通り越した開き直りの大変さがあるわけだが・・そこのところで通じ合えてる二人ってのが深いね。
ヴァージニア・ウルフが行ってたんですよね。
女性アーテイストがなにかしようとおもったら、少しばかりのお金と、鍵のついた部屋がいるって。」とキューティはつぶやく。
ガオゥ「アートっていうのは悪魔(デーモン)。悪魔に引きずられていくものがあるわけよ、アーティストっていうのは。」と笑い飛ばす牛ちゃん。
イイ夫婦だよ。
キューティは富山出身というだけに辛抱強い、というよりはやはり牛ちゃんを放したくないほど好きなんだなと思わされるようなイイ女性の物語でもある。
劇中、大酒呑みだった牛ちゃんが、呑まなくなってた。
心臓が止まる病気をして以来、酒を断ったようだ。
牛ちゃんがNYの次郎長をやってたころと思われる昔の映像が挿入されるのだが、いつものように牛ちゃんの家にアーティストたちが集まり、酒盛りをし芸術論を戦わせているうちに牛ちゃんは号泣して酔いつぶれる。
そんな酒の臭いも感じさせないやる気満々の80歳(現81歳)。
29歳の若い監督が5年間通い撮り続けたという。
当初は「見るからに子どもで・・幼稚な質問したりと・・期待もしてなく、そのうち家具や電気釜と同じような存在になっていた・・」とはお二人の弁。
牛ちゃんモノではなく、題名どおりキューティーとボクサーの物語である。
役者はこれ以上はなく、カメラは小津ばり、編集が上手く映画になってる。
若い監督も成長させられたのである。
アカデミー賞だって取れたらイイね。