服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

tomatotiger8.sakura.ne.jp

挿し絵画家・古賀亜十夫 遺作展

イメージ 1
  「古賀亜十夫(あそお) 遺作展」を伊万里市立図書館に見に行った。 今日が最終日であった。 44歳で教職を辞め画家になろうと上京。 その後35年間、挿し絵師として多くの児童書に作品を書き続け、八十歳ごろ引退、93歳で伊万里に帰郷され、3年前、98歳で亡くなられていた。 遺品の中に油絵170点、挿し絵1、100点、デッサン、スケッチ400点、彫刻7点があったという。 それを、市民有志の方々がと地元民に「保存を問うアンケート」のため「保存運動の起爆剤にしたい」と展覧会を開かれたもよう。 挿し絵原画、児童書、油絵など200点が展示してあった。 問題はいろいろあるにせよ、有無なく、もちろん、流出なく全てを地元の財産として保存すべきである。 デッサン、描写が優れた人で、画家を志望されたことは判る。 初期の油絵の自画像、母の像にその片鱗が見える。 しかし、食べていくには描写力を生かす挿し絵の仕事もしなくてはいけなかったろう。 油絵の個展も開かれているようで、夢はすてきれず、基本的には画家でいらしたようだ。 描写力を生かした児童書の挿し絵は正に職人肌。 一念発起、戦後まもなく伊万里の地から憧れの東京へ。 挿し絵師として膨大な児童書の挿し絵を描き、合間には海外旅行をし、油絵を描き、個展を開き、 高齢とともに、ふる里へ帰郷、そして、ひっそりと亡くなられた。 地元の人はもとより誰も古賀亜十夫さんの存在を知らなかったようだ。 作品を通し氏の生き方、人物を検証することで、伊万里、その時代から見えてくる現代があるはずだ。