服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

tomatotiger8.sakura.ne.jp

日本に向けられたヨーロッパ人の眼 展

「日本に向けられたヨーロッパ人の眼(写真展)」県立美術館


外国の写真家が見た日本(佐賀、福島)という視点の企画。ペンティ・サマラッティさん(フィンランド)の福島県の田んぼや山の作品には深い静寂がある。A4サイズのモノクロの作品だが、日本的な祭事をもおどろおどろしくせず、緊迫した空間として切り取られている。田んぼの路もなつかしさではなく道という時間を見るようであった。「~犬のごとき臭覚と鷹のごとき視覚をもって、~」とコメントしてあったが、カルチュラ・ブレッソン的である。狙いと思想がぶれない人のようだ。 エレニ・マリグラ(ギリシャ)も福島を撮ってある。都市のビル、雪景色、町の人々、ホテルの部屋(から)、それぞれが組み写真になっている。まず日本に闖入した作家の居場所・環境から押さえてある。まじめな人々、発展する町、流されぬ野山を福島であって、世界の中の日本とも捉えてある。そして、極めつけがホテルでくつろぐ作者の時間。部屋の窓ガラスに付いた手跡を透して雪に霞むビル群が見え、テレビからは歌謡番組が流れ、一瞬、作家はここが自分の場所だと錯覚する。心地よい終着点、充足の時間もストレンジャーとして窓の外の風景に変わっていく。日本よりも作者が見えてくる物語だ。イイ映画を見ているような作品郡であった。


それからすれば、ボクが見えないこともあろうが、佐賀を撮った二人の外国人作家は焦点がぼやけ、佐賀が掴まらないままに終わったのでは・・とおもえた。 久我秀樹さん(日本人)が見たギリシャも作品一つ一つは美しいのだが、時間的にも焦点を絞り込められなかったようにおもうた。