服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

tomatotiger8.sakura.ne.jp

船団

イメージ 1
潟の漁港にいた。防寒頭巾をかぶった海苔漁師のおちゃんがボクの車をのぞきこみ、船へと下りて行った。おっちゃんは再び上がってくると、また覗きこんだので、ボクは車のウインドウを開けてあいさつした。「おんじさんはようここに来とんさけど、絵ば描きよんさっと・・」本物のおんじさんにおんじさんと呼ばれたのには、参った。「もう、何年もきてますよ」「どこから、来んさったと」「佐賀市の○○町からですよ」おっちゃんはボクが写生しているのをしばらく見物して「どうも」とトラックで去って行った。夕方、5時から6時にかけて、船団がぞくぞくと潮が引いた河口を下り海へと向かっていく。水平線に消えていく勇壮な船団の風景である。その波が繰り返しざわざわバサーンと干潟と桟橋に打ち寄せる。静かなる虚空の空間が、華々しく動へと一変する。ディーゼル音と波音は北風に勝り、白いしぶきの航跡は鉛色の水面をえぐり広げ、大キャンバスの大ストロークのごとく。ふと、顔を右に振れば、西の空は紅い。