服部大次郎の日々雑感2024⇦2006

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栗山奉文個展

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栗山奉文個展(3月27日~4月1日 村岡屋ギャラリー)
岩のくぼみや溝をリアルに描いてある。
山ではなく海岸の岩らしく、浸食された溝、裂け目ということになる。
”狭き門より入れ”というのか、何かしらその奥を覗いてみたくはなる。
岩の裂け目に洋梨やグラスが置かれており、背景は漆黒の闇。
静物画ではあるけれど、シュールな一種のディペインズマンを装う。
平面が風化するのか、くぼみが増殖するのか?
地面(平面)に同化するようなバラの作品もある。
物体も厚みがなくなるほど平面に近づくが、その狭い距離感の世界ということになるようで、
マクロはミクロ、ミクロはマクロという二律背反がイコール現代ということになるのだろう。
日本人ならではの節穴とか古い板目を訳もなく凝視していたという記憶も局部であって、
遠い時間を見ていたということになる。
直接的ではないにしろ大震災の意味合いも重ね合わされているようだ。
「穴はふさぐものである」とサルトルは云う。
存在と無。女と男。
ミニマルに向かうか混沌とおもしろくするかという命題が沈潜する。