J・ギャバン
夕闇迫る田んぼはステキだ。 漁港はしばらく、お休みだな。 稲が刈られた田んぼは広い。大地が少しむき出しになって藁色。 機械化され、どんどん作業は終わっていき、風景も変わる。 この季を逃したら、また来年ということになるから、今が大事。 冬になる前の静かな気温の中にもちょと寒さがある。 身体が自然に燃え、体温を調整している。 ひこばえと藁の田んぼに入り込み、ワルサーP38を構えるように勢いこんで、 アルシュ300弔鮃げる。 日が落ちても人間の目も動物的だ。潜在的パワーとスピードに援護され、断崖で吠える狼になってみたいよ。 気分も情景も正にアンドリューの牧場で取り憑かれたようにアルシュを広げた青の日に似ている。 村と堤防に灯るライトが漁り火のごとく、稲田をかき分け走っているように見えるトラックのヘッドライトは旅の途中に見た永遠のサイン。 アルシュがふにゃふにゃ、夜露が下りはじめたようだ。 また、一台大型トラックが長いヘッドライトを空に向け通り過ぎていった。 F・アルヌールとJ・ギャバンがこの田舎から去っていく。